丹さんより、2015年12月に頂きました。


今年もお友達サイトの丹さんから、お誕生日プレゼントを頂きました!
しーちゃん視点のショートストーリー♥ 時間軸で言うと5−3話終了後、蒼くんとのやり取り後の心境を描いて下さってます。
セリへの愛情、蒼くんへの嫉妬。そして幼いころの思い出……。
セリとしーちゃんのやりとりがくすぐったい、可愛いお話です(#^.^#)





【by 丹さん】


 自分の中にこんな感情が渦巻くなんて想像してなかったんだけど。

『俺のもの』発言に、どんだけ蒼、セリに惚れてるの?と自惚れないでくれる?と意地悪な言葉が浮かんであんな風に。

 セリはもう、一線を蒼と越えたわけで、散々許してきた、こんな身勝手な感情が自分の中に溢れたんて初めてだと思う。

 今まで、お姫様だったセリ。

 一生幼馴染で、『恋人』にはならない―いや、なれないと思ってた。


 キスをして、甘く言葉を囁けば、大抵の女の子は僕に惚れたのに。


 きっかけ??そうだなぁ。
 何だろう。当たり前すぎて。でも―…。

 小さな頃、お姫様の「かくれんぼ」に付き合わされたことがあった。

 セリは、大抵予想の付くところに居たりするのがいつもなんだけど、

 その時ばかりは、山中探しても、公園を見ても、学校を探しても、

 見つからない。

 思ったのと同時に、日が暮れそうになる。

 おじ様に怒られるとぼんやり思いながら、それでも探した。




 もしかしてと思い出す。

「しーちゃん、ここ白雪姫の小人さんと住んでた家みたい〜!」

 と行ってみたい!と言う我儘を「はいはい」と受け答えするのが気に入らなかったんじゃないかな?

 山小屋なんて、何にもないのに。

 それでも、セリに何かあったら、おじ様が。

 ―そんなことどうでもよかった。

 セリがもし危険な目に遭ったら。
 浚われたら。襲われたら。売られたら。

 そんな焦りの負の感情に負けないよう精いっぱい足を前へ前へと進ませる。

 自分が汗だくで走るなんて―…。



「…ハァっ…はぁっ、あった…!!」


 不思議な小屋。赤レンガに白い屋根。

 本当に魔女でも住んでたらどうしよう。

 子供ながらな発想になるのが一番怖かった。

 感じた事のない焦燥感。

 いつも閉じられている扉が開いていて。

 メルヘンなピンクの天蓋付の真ん中に『白雪姫』のように、セリはすやすや寝息を立てて、寝ていたんだ。

 その寝顔をいつも見てるはずなのに、

 何故だか、白い陶器のような肌に、ピンクの唇にキスをしてはいけないと思いつつも。

 初めて、そんな色欲の感情がはちみつのように湧き上がる。


 でも、今は、

 僕はおでこにかかった前髪をそっと手で上げて、額にキスを落とした。

 すると、『白雪姫』は、目覚めた。

「ん〜〜?しーちゃん、ここどこ…?ふあぁ〜」

 汗だくで駆けつけたのにそれ?と嫌みも言いたくなるのを我慢して、

「セリが迷い込んだんでしょ。危機感ないなぁ。」

 でも、可愛い白雪姫は、手を差し出すと、

「えへへ、しーちゃん、ありがとう」
「おじ様に叱られること間違いなしだよ」
「ぅう…」

 それでも差し出された手を握ってくれたら。

 僕は白雪姫の王子様になれるよ。



 ―我ながら子供だったと思い、恥ずかしく思いながらも。

 あの時、無理やり唇を奪っていたらなんてらしくもない後悔。

 セリ、今から全力で奪うから。

 待たなくていい。僕が掴まえる。小人《脇役》になんかなるつもり、ないから。


<END>




丹さん、可愛くて切ないお話をどうもありがとうございましたっm(__)m
白雪姫とか小人とか、セリの大好きそうなシチュできゅんきゅんっしてしまいましたよ!
あたしもいつか、2人が小学生だった頃のお話を書きたいです! 創作意欲を頂きました!!