◆ 2.キスと香りと、後ろめたさ
灯りのとぼしい、神社裏の細道。
街路樹を盾にして、蒼くんは私にフワリと
口づけた。
つないだ右手はそのまま。
もう一方で優しく髪をなでてくれると、少
しして彼の舌先が唇をわって侵入する。
ザラッとした、生温かい感触。
戸惑って泳ぐ私の舌を、誘導するみたいに
絡めとって、小さくチュッと音をたてた。
柔らかい蒼くんの一部に、口内をゆっくり
かき回される。
脳が溶けそう……。
「んっ……」
大好きな人からされる、その行為の気持ち
良さに、私は堪えきれずにカクンと腰をおと
した。
力の抜けた躯を反射的に支えてくれた蒼く
んは、熱っぽい瞳のまま穏やかに笑う。
あ……この表情、すごく好き。
こんなカオが見れるなら、何回でもキスし
たいよ……。
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