〜 プロローグ 〜
未練を残してさまよっている霊魂が人間と
いう器に納まって、あらたな生物体となった
存在、妖力者 。
人の精神――、時には肉体までも喰らって
生きながらえる、そんな人ならざるものを、
うちの家系は古来より浄化する役目を担って
いる。
妖力 に対抗できる唯一の力、天力 。
血統という見えない鎖につながれた私は、
「天力者の姫」と呼ばれることが何よりもイ
ヤで、ただ好きなものだけを選んで、ふらふ
らと逃げ回っていた。
彼の言葉に、この足かせが外れることはな
いんだって、思い知らされるまでは――。
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