「きゃぁ」


 笑い声の混じった小さな悲鳴をあげて、そ
のまま彼に身体を預けた。
 あったかい……蒼くんの手……。

 ……んっ……?
 あ…………………………。

 ただ素直に甘えて温もりに浸っていた私は、
彼の唇が首筋を静かに辿っているのに気づい
てとっさに身を固くする。

 右腕で私の肩を包みこんだまま、もう一方
でうなじにかかる髪を優しくかき上げて。
 蒼くんは啄むような口づけを幾度も落とし
た。
 首、頭、耳。背中のギリギリのところまで。
 熱い感覚に、ゾクリと体が震える。


「ふぁぁ……」


 何を求められているのか。初めての私でも
すぐに察した。

 でもどう反応していいのかが分からない。
 うまく応えられずに躰を強張らせたままで
いると、彼は口づけをいったん止め、切なげ
な声で囁く。


「嫌なら……このままぶっ飛ばしてくれ」


 掠れた声が色っぽかった。


「今ならまだ、今日という日を一緒に過すだ
けで満足できる」



 イヤなわけがない。
 私こそがずっと望んでたことなの。


 回された腕にギュッとしがみついて、すぐ
隣りにある蒼くんの顔に振り返る。
 視線がぶつかって、心音が重なって。2つ
の想いが甘く溶けあう。
 言葉なんていらない気がしたけど、抑えき
れずに口にした。


「好き……大好き。蒼くんのモノになりたい
よぉ……」


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